水や電気といった生活に欠かせないライフラインが絶たれてしまうとそれだけで家の中の空気は重くなり、何をするにしても緊張感がともなうものなのだと痛感させられたことがありました。
私の場合、それは水のトラブルで、トラブルが起こった場所はトイレでした。
トイレのトラブルが起きると不便
今の家は一階と二階両方にトイレがあるので、最悪どちらかの調子が悪いときでも何とかなりますが、当時の家は一階に一か所しかなかったため、五人家族で使うには不便でした。
時間帯によっては家族が次々と連続して使うため、水が流れにくくなったりといったトラブルは時々起こっていました。
そんなある日のことです。
トイレの水が流れにくくなり、そのうちに水が詰まって溢れるようになってしまったのです。これといった原因は思い浮かばず、きっとタンクに水が溜まらないうちに次々と連続して流していたことが良くなかったのかもしれない、じゃあ少し時間を置くようにしようという話になりました。
水が溢れるのは、やはり連続して流しているうちにペーパーが詰まりやすくなったんだろうという話になり、家族皆で気を付けて流すようにしました。
そのうちにペーパーが溶けてくれば徐々に改善されると思っていたのです。
ところが、これらの対策をしても流れが良くなるばかりか詰まる一方で、ついにはトイレがまったく使えない状態になってしまいました。
トイレが詰まったので専門業者を探すことに
これはいよいよ専門業者さんに頼まないとどうにもならないということで、早速業者さんを探して修理の依頼をしようとしたのですが、良くないことは重なるもので連休期間だったため、すぐに来てくれる業者さんがなかなか見つかりませんでした。
その間トイレはどうしてたかといいますと、生理現象ですから我慢には限界があります。
仕方がないので新聞紙の上で用を足して厳重に包み、ポリバケツに捨てていました。これは想像以上にストレスになります。
どんなに厳重に始末しても匂いが気になるのはもちろんですが、なるべくトイレに行かずに済むように
食事や水分を控えようという気持ちになってしまい、決して大袈裟なことではなく心身に悪影響を及ぼしました。
そんな中、やっと業者さんが来てくれて問題の原因は何かを探るため、しばらくトイレで作業をされた後に私たちは意外な原因を知らされました。
今回のトラブルの原因、それは祖母が履いていた介護用の紙パンツがトイレのかなり奥に詰まっていたために、水の流れを止めてしまっていたというものでした。
しかも紙パンツはかなり水を吸っており、相当な大きさに膨らんでいたとのこと。紙パンツという特性上、非常に水分を吸いやすかったこと、それが大きな要因になっていたそうです。
当時、祖母は体が弱って介護用パンツを履いていたとはいえ、まだ自分一人でトイレに行ってパンツの交換ができる状態でした。そのため、いつも使用済みのパンツは必ず専用のバケツに入れてゴミに出していました。
今思えば、認知症とまではいかなくてもパンツをうっかり流してしまったことに気が付けなかったのかもしれません。あるいは、言えば怒られると思って言い出せなかったのかもしれません。
そこの辺りは業者さんが気を遣って下さり、祖母のいないところで私たちに説明して下さったのでありがたかったです。
祖母には母がそれとなく、パンツを履き替えるときに便器に落とさないように気を付けてねといった感じで優しく伝えたようです。もし、うっかり落としてしまったら流さないで教えてほしい、と。祖母だって好きで今回の事態を引き起こしたわけではないので、原因さえ分かれば気を付ければいいことです。
でも、業者さんが話してくれたことですが、こういった紙パンツが詰まって大きく膨らんだ結果、水が詰まるということはよくあるそうです。
介護用だけでなく、成長過程の子ども用の紙パンツでも起こり得ることで、トイレといったプライベートな空間であることから、うっかり流してしまった本人以外は気が付きにくく、もしやと思ったときにはトイレが使えない状態になっていることも多いそうです。
意外な原因のトラブルから、やっと普通にトイレが使えるようになったときには安堵感でいっぱいでした。普通にトイレに行って水が流れるということは本当にありがたいことだと思いましたし、いつでもトイレに行けると思うと不思議なもので体調も落ち着いてきました。
本当、トラブルを解決して下さった業者さんがヒーローのように見えました。
つくづく、ライフラインが絶たれるというのは自分がその経験をしてみないと、どういうことが不便なのか分からないものだと痛感しました。
我が家のトイレトラブルをたまたま遊びに来ていた友人が知り、いつでもうちのトイレで良ければ使ってと言ってくれましたが、それはできませんでした。
気持ちは本当にありがたかったですが、まだ当時は若かったので恥ずかしさが先に立ちましたし、トイレというある意味究極のプライベートな問題は頼るのが難しかったです。
あの一件の後は同じトラブルが起こらずに済みましたが、自分も将来ああいう介護用品にお世話になるときが来るかもしれないと思えば他人事ではなく、そのときが来たら若いときの経験を思い出し、しっかりと気を付けていかなければと思います。
そして、もし少しでも水の流れがおかしいと思ったら自分たちであれこれ勝手に推測せず、専門の業者さんに来ていただくことが一番だと思いました。