15年前に建てた我が家は、当初私達と子供の核家族で済む予定で土地の購入手続きを進めていました。
注文住宅の二世帯住宅を建てることに
一軒家にしては少し広めでしたが、以前住んでいたのは2LKのアパートだったので、念願の庭付き一戸建てを叶えるべくして計画を立てていました。そんなとき、主人のご両親の家が知人の借金の連帯保証人の抵当に入り、即家を売り払わなければならないという事態になりました。主人は長男で近くに住んでいたので、とりあえず私達のアパートに身を寄せることになりました。
この先どうしたら良いかと、主人とご両親とで相談した結果、私達の土地に一戸建てを建て、そこに一緒に住むと言う同居の案でした。私はアパートでの期間限定ならばなんとか耐えられるが、無期限の同居には同意できないときっぱりお断りしました。
決してご両親と仲が悪いわけではなく、むしろ一定の距離を保ちながらも娘のように可愛がって下さるご両親と仲が悪くなるのは嫌だったからです。同居をしてから犬猿之仲になったと周囲ではよく耳にします。見えなくてよいところまで見てしまい、喧嘩になったり、孫の教育についてなど意見が分かれたりと良いことはないそうです。
でも主人は両親を路頭に迷わすわけにはいかないと、私とご両親の間で結論が出ずに悩んでいました。すると偶然にも私の友達がインテリアコーディネーターとして働きだしたと聞き、相談してみることにしました。これからの時代のよくある話で、まだご両親が健康であるのが幸いであり、今後介護生活も見込んで10年20年後のライフ設計を立ててみたらとアドバイスをもらいました。
子供の成長とともに、弱っていく両親の面倒を見るにはどのようにしたらよいか、主人と未来計画を立ててみました。そして持ち上がったのが、二世帯住宅でした。完全プライベート重視です。
玄関も二つに分けて、二つの家族が一階と二階とで住んでいる一軒家というイメージです。体力も無くなり、足腰が弱っていく両親には庭が眺められ、階段の登り降りのない一階を。階段を使い二階とロフトを私達の家族が使うという設計です。ロフトには天窓もあるので、子供には持って来いの基地になります。
他にも勿論全てが完全分離で、バストイレにキッチンにと全て世帯分の揃えに。元々生活スタイルが違う上に、子供の成長とともに更に時間のずれが生じるであろうと考えると、個々の生活を乱すことなく送ることが出来る最善のプランだと思いました。インテリアコーディネーターの友達からの伝で、工務店を紹介してもらい、細かな設計が行われました。
一軒家にしては広い土地も二世帯住宅で、更に全てが二軒分となると、水回りの配管が少し窮屈になると言われました。実際に工事をした工務店の大工さんから、配管が沢山あるので、水漏れしないように十分に配慮をしておくとのお話がありました。
私も実際にその配管の場所を見させてもらいましたが、狭い空間にくねくね曲がった配管がひしめき合っていました。
注文住宅ということで、私達客のニーズに答えてくれたおかげで、立派な二世帯住宅を建築することが出来ました。これから新しい二つの家族の生活が始まると、みんなで楽しみでした。暮らしてみて二世帯住宅で良かったと思うことは多々あり、私はやはり完全に分離した水回りの良さに自分でも納得していました。夜中にミルクを作ったり、朝風呂を浴びる主人、トイレ時間の長い長男など、特に水回りに関してはわがまま時間が多かったからです。バストイレは一軒家サイズより小さめになってしまいましたが、それでも私達は満足でした。
15年経ち水漏れが発生
そして15年後、恐れていた水回りの配管から水漏れが発生したのです。私達のバストイレから真下に当たる両親の玄関の天井から、ぽたぽたとお水が垂れてきたのでした。天井からということは、素人では手に負えないであろうと、急いで工務店へ連絡して見てもらうことにしました。やはり、予想通りにバストイレの配管が沢山ある一本から、古くなった管の欠片が落ちていて、そこから水漏れが発生してしまったようで、管を新しく取り替えてその配管からは漏れないように修理してくれました。しかし、お風呂の水を排水する時に限ってまたぽたぽたと水漏れが発生してしまうのです。
どうやら取り替えてくれた管が細いようで、溢れでた排水が原因でした。そこで今度はお風呂のバスタブを持ち上げて、配管のチェックを行いました。すると長男が小さい頃に遊んだミニカーやスーパーボールなどのおもちゃがなんと管に詰まっていたのでした。これを取り除いて汚れも落とし、いざ排水をしてみると今度は水漏れすることなく流れました。
まさかあのバスタブからおもちゃが流れていたなんて、全く気づきませんでした。専門知識がなければこのような大々的な修理はできなかったと思います。今は水漏れなく過ごせていますが、排水には特に気を付けて、髪の毛一本も流れないようにネットを張るなど工夫をしています。15年目にして、とんだ水漏れ事件でした。